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こちらは、主に素直でクールな女性の小説を置いております。おもいっきし過疎ってます
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死線(仮) 3. 素直クール作品 

 3.
「ソラ、ちょっと太ったんじゃない?」
 浮き足立ちつつ心胸躍る春も適当に過ぎ去り、軽鬱が伝染病の如く空気感染する五月病も成り行き的に過ぎ去り、緑林香る夏を迎え始めていた。そろそろ教室内は蒸して、脇の匂いが宜しくない友人が女子に嫌われ始める頃、ソラへ掛けられた級友の言葉が耳に入った。
「まあね……好きな人が居るから、努力しているんだ」
 席に座るソラと会話をしながら級友は机に手をついた。
「そうなんだ、それで?」
「私は太腿がないから、股ずれするぐらいの太ももになれってさ。体質があるから、なかなか難しいんだよ」
 そう言ってソラは、胸を鷲掴みにしていた。「こちらばかりが発育するよ」と頭を掻いて、まじまじと自分の乳房を眺め、弄びながら辟易とする。
「あーあ、もったいないなぁ。いい身体してんのに」
 友人の口から溜め息が零れ、そして尖らせ肩をすくめた。級友は自分の身体を舐めるようにして眺めて、深く肩を沈めた。
「穂種のふっくらとした身体、正直交換して欲しいよ」
「いくらでもあげるから、代わりによこせ」
 悠然として穂種《ホダネ》は、おくれと手を差し出した。そして明るい晴れやかな笑顔を浮かべる。
「本当、元気で可愛いね」
 手を伸ばしホダネの前髪を掻き分けるソラは、情けない笑みを表して嘆いている。ソラは物欲しそうにして、目線の先にあるホダネの腰へと腕を巻きつかせた。腹部に顔を埋めるソラは、話の流れからするとよほど柔らかい感触を味わっていた。
「穂種、あんたのお腹羨ましいわ、私の括れが口惜しい」
 もぞもぞとソラは、腹部に顔を押し付けながら穂種を見上げる。ソラの横顔から垣間見える面持ちは瞳が潤い、羨ましくもあり恨めしい表情を穂種に送る。
 それを受けた穂種は少し呆けて「ホント……ソラって怖いわ、エグイ。お腹の肉を分けて欲しいなんて――アンタそのうち殺されるよ」と、苦笑交じりでソラを諭していた。
「まあね」
 同じくソラも苦笑を滲ませて、腹部から体を離す。
 眺めるかぎり親密と思える二人は、まるで姉妹のように仲良く会話を繰り広げる。妹の位置に居るホダネという女の子は可愛らしく、僕にとって軽く興味を引く女性だった。真撃こそしないが、まずまずといった印象を受ける。
 校則に違反しない程度の軽いブリーチを掛け、ほんの少しばかりスチームを当てたようにふわりとしていて、キュートなボブ。垂れた目尻に大き目で膨らみのある唇、跳ねる髪先が頬に掛かる。畏まるように着こなすソラとは対照的に、ホダネは指定のネクタイを締めずトータル的に着崩していた。
 ブラウスのボタンを第二まで開き胸元を露にしている、鎖骨付近に肉が載り乳房の膨らみは適当に小ぶりで、全体のフォルムを想像するに、“ぽっちゃり”が鮮やかに印象付けられる。裾はプリーツスカート内には収められず、白い生地がたっぷりと覆いつくしていた。そして注目すべき点は二点あるのだが、その一点――まるまるとした二本の太ももだ。膝上のスカート丈から、ホダネがはしゃぐたびスカートが遊び、見え隠れする太ももは興奮冷め止まず健康的でいて、エロティシズムを感じさせる。決して弛まない張りのある質量感は、僕を引火させ身を焦がすように、ペニスを硬く反り立たせた。このまま目線を下へともってはいかず、やもすれば希望的観測に基づいて想像するに堅い綿の汗ばむショーツを現すかもしれないと、その場に視線を釘付けにしておきたかった。その性的興奮に反して、ソックスがギャルテイスト丸出しのダブついたルーズソックスだったため、ペニスを萎えさせるには然るべきものがあり――そうさせた。いいたくはなかったが我慢できず、この憤りに駆逐された僕は思わず「ルーズリーフであって欲しかったなぁ」と、口走ってしまっていた。自嘲気味に苦笑し、二重の意味合いで苛まれる事になった。足元のグリーンのコンバースレザー地ジャックパーセルは、冬場と春先に羽織るネクタイと同色のブレザーに合わせた定番ものとなっていた。定番だが“おぼこい”を基準とする僕としては、ホダネのチョイスはベストなものだと感服した。
 残る一点は、いまだ確認する事が出来ない腰とお腹だ。残念な事に、重力に従い垂れ下がるブラウスの裾が全てを隠してしまい、想像するに腕を回したソラの感想と、腕の食い込みさ加減でしか最良かどうか判断しなくてはならなかった事だ。推測は最良と太鼓判を押されてはいるが、実際は思いのほか細かったりはしていないか、と確定を出すのは時期早々だと感じるに留まった。
「んで、そいつって、どれ?」
 ソラの姉という位置と逆転したように、ホダネはさり気なく叱咤しソラの腕を取った。
「彼」
 僕は彼女たちに送っていた視線を瞬時に逸らす。突き刺さる視線を彼女たちから受ける事になった。僕を確認して、どういった印象を受けたのかは分からなかったが、次に続く彼女たちのやり取りの中で理解する事になる。
「あ、あれね、パッとしないね。アレ」とホダネ。
「見た目じゃないよ、無駄に溢れたエネルギーが凄いんだよ」とソラ。
「ありゃホントだ、オーラ出まくってるや。こりゃあ、ソラ……妊娠確定しました。残念無念」ホダネの突き刺さる一言だった。
 五月蠅いよ、嗜好だから仕方がないだろう、と喉から出掛かった罵声を胃に押し込んで、バツの悪い思いをしながら頭を掻いた。僕はふて腐れてぶつぶつと小言を並べ机に伏した。
  1. 2006/10/08(日) 03:53:35|
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