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こちらは、主に素直でクールな女性の小説を置いております。おもいっきし過疎ってます
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レイプ(仮) 二章 1

 酷いありさま、この一言に尽きた。まるで生活感の欠片もないほどに、小奇麗に整理整頓されたリビング。淡いグリーンのカーテンが閉じられている、隙間なくビッチリと。簡素な家具、部屋の角からローボードが対にあり、その角には液晶TV。黒の薄い絨毯、無地。アクリルの低いテーブル、まだ湯気が立つ丼鉢、三分の一ほど残っているガラスコップ。非常に無機質な印象を受けた。
 テーブルの横手にヴィトンやディ・オールといったブランド物の紙袋が四つ、並んでいた。ボストンバッグほどたっぷりと物が入る紙袋の中に、黒い不透明なビニール袋が入っていた。各一つづつ、括り目が顔を覗かせている。その中の、ヘルメスの紙袋に入っているビニール袋が目に留まった。
 エメラルドグリーンの防水加工されたエルメスの紙袋から飛び出している黒のビニール袋、内側から腕時計が浮き出していた。ビニールを押し付け、透けていた時計はセイコーの腕時計。セイコー製は正確だよ、と時間にルーズな旦那にプレゼントした時計だった。
 その時計だけだったら、それでよかった。他にも考えようがあった。しかし、毛が横に生え揃った腕もみえたのだ。手の甲が透けて、しっかりと、時計をはめたそれを目の当たりにした。その奥に、透明度が減少して、みえづらくなっているが、顔面、頭部、のようなものがわかった。わかってしまった。目が絡《あ》ってしまった。
 う。四つになった旦那だ。
 竦む。悄然と身体が竦んだ。膝が崩れ、尻餅をついた。おしっこが洩れた、洩れたというよりも全身は脱力して、勢いに任せておしっこが吹いた。黄ばんだお尻が熱い、ジンとする。動けずに居ると、次第に冷めてきた。
 その時、背後から暖かい胸で抱きしめられた感触があった。はっとして振り向く、そしてすぐに、違うと気付いた。誰も居ない、居るはずがない。実際に感触があった訳ではない、押し殺していた過去のワタシが感触を蘇えられたのだ。その感触、あらら……洩らしちゃったね、大丈夫だよ、と祐子に首元で囁かれた感触、息遣いも蘇っていた。
「嘘よ、祐子、これって、ホントなの?」
 私は、奥底から、悲鳴をあげた。
 過去の記憶が蘇り、ワタシと一つになった瞬間、悲痛な叫びを搾り出していた。よみがえってきた映像、部屋の中央で倒れた人間、背中に包丁が刺ささっている。うつ伏せに転がる人間の背中に、直立して包丁が。
 ここにきて、初めて、泣いた。号泣。気が違ったように奇声を張りあげた、純粋な子供のように、わーと。大玉の涙が際限なく溢れてくる。体を寝かし、太ももを寄せ、腕の内側で目を擦る。自己を抑える包丁は、もうない、祐子が一緒に持っていった。旦那も既に失い、そこにはいるけれど、もうかえってはこない。
 でも、いまさら込み上げてきた涙はこんな惨劇のためじゃないんだ、原因はそうじゃない。
 私が、ワタシが、わたしが悪い。結局、わたしの弱さが、都合のよいわたし自身が、このような事態を招いたんだ。わたしの身勝手さに頭がカッと熱くなり、涙が噴き出した。祐子にも原因はあるのかもしれない、旦那にもあるかもしれない。でも、それすらもわたしが引き起こした要因なのだ。
 祐子と教室での出来事があってから、祐子との記憶は抹消された。都合の悪い箇所は全て、ワタシと一緒に殺した。あの時、祐子に告白されたことも、意識が飛んで机の中に入っていたカッターナイフで刺したことも、そのまま逃げて、私の中で教室での出来事が無かったことになったことも。ワタシと一緒に押し殺した。いまのわたしも殺してやりたい。
 祐子がいっていた、ワタシと二回逢ったと。今日の私で三回目になると、そういっていた。一度目は、四つになった旦那ではなく、高校を出てから少し経った頃、彼氏が出来てから数ヶ月後、祐子と再会。
 別れ話。彼氏からの別れ話が祐子を呼び寄せ、再会させた。


 ☆


 高校を卒業してから大学へ通っていた。祐子は就職組みだった。ワタシは近くの私立大学に通いながらバイトをしていた。特別なにか興味の湧く職種ではなく、ただのコンビニの店員だった。祐子は、どこか業界の中堅会社で事務員をやっている、と友人経由で聞いたことがあった。
 祐子とは卒業以来、連絡を取っていなかった。いや、あの教室のことは忘却の彼方へ過ぎ去っていたが、そうではなく、ただ祐子とは在学中に引っ付いて離れてしたものだから、何気に連絡を取らずじまいだった。決して深層心理に教室での出来事が無い、とはいえないけれど。
 バイト先に、妙に馴れ馴れしい先輩が居た。恰好つけて、どこかきどった風貌。女性にはすこぶる優しく、一緒に居て安心していられるひとだった。でも、それは、面がよく女性に人気あったので、これまで自然と身についた
女の子のあやしかたが上手いだけだった。
 そういえば、そんな馬鹿な男とばかり付き合ってきた気がする。学生時代からそうだった。祐子は付き合ってきた男の本質を、既に見抜いていたのかもしれない。
 そうして彼氏と付き合いだして数ヵ月後、浮気が発覚した。
 彼氏が部屋に泊まりにきた朝方、彼氏の電話にメールが入った。テーブルの上で踊る携帯電話、バイヴレーションが強化ガラスの表面で歯軋りのように雑音を響かせた。隣で寝ている彼氏をよそ目に、ベッドから抜け出した。
 彼氏のチャラついた携帯を手に取る、しきりに七色のLEDが光を放つ、バイヴレーションが呼ぶ。魔がさしたとはいえない、携帯のそれが粘着的に呼ぶのだ。カーテンの隙間から、薄暗い褐色の風景が見え隠れする早朝に、折り畳み式の携帯電話をひらいた。
 あたりさわりのない壁紙、異国の風景。その凱旋門の画像は辛辣に打算を感じる。割り込むように下段に未読メール五件の表示が。携帯電話の上部に四方向ボタン、その中心に決定ボタンがある。暗い部屋に液晶盤の光が洩れている、少し気になり、一人彼氏を盗み見た。ぐっすりと寝ている。そうしていると、また手のひらに伝わるバイヴレーション。反射的に、両方の親指で決定ボタンを押した。
 件名:さみしぃよーバカ。
 本文:はやく旅行の日になんないかなぁ我慢できないよーこんな時間にゴメンネ
 だってチョーさみしーんだもん。
 六件目のメール内容がこれだった。宛先、よこした人物は裕司とあった。残り五件のメールも裕司とかいう、どうみても偽名の人物からだった。彼氏のは明らかに同性愛の気はなかった、と思う。むしろ裕司という名前から、他の可能性を考えるべきだった。しかし、だからといって、どうすることもできないけれど。
 その場は、携帯をテーブルに戻し、ベッドにもぐった。彼氏の背中を抱き締めた。うーん、とうなる彼氏、ほっぺにキスをする。携帯はさらに二、三度暴れる。奥二重を顰め、それを一瞥。布団の隙間から脚を出してテーブルを蹴り、携帯を床に落とした。絨毯の上でくすぶるように振動し、毛羽立った絨毯にそれは絡め取られていた。
「おはよ、うー、何時? 香奈子」
 と、薄目で振り向いた彼氏に口づけ。硬くなりはじめた下半身を強く握り締めた。
「香奈子、痛い痛い」
「四時半」
 そういって、彼氏のそれを優しく撫でた。
「早いよ……」
「そう? ねえ、先輩。――する?」
 彼氏は半目になって、寝呆け眼の面をこちらへ向けた。ワタシは嫉妬心にかられ、精一杯の微笑みを差し向ける。彼氏とワタシの前髪が額をつついて擽ったい。彼氏は笑って、唇を舐め上げるようにワタシの唇を塞ぐ。涙腺から涙が溢れてくるのを堪え、彼氏の唾を飲み込んだ。
 その時、初めて、彼氏の唾が苦く感じた。メールの画面が、頭の中一面にひろがった。食道を通った彼氏の液体が残っているようで、しゅわしゅわと痺れていた。吐き出しそうになる。
 彼氏の、ゴムウェストになっているジャージを引っ張り、中に手のひらを押し込んだ。太股とトランクスの隙間から、なぞるように指を差し入れる。そっと裏筋を擦った。
「もっと」悶える彼氏、荒い吐息が耳の裏を攻め立てる。
「気持ちよくしてあげるね。こういうの、先輩好きでしょ?」
 そういって、ワタシは薄い胸板に唇を這わせ、ぴんと硬くなった乳首を啜った。
 彼氏は、ワタシのやわらかい髪質の頭部に顔を埋め、何度も匂いを嗅いだ。「あっ、いつもの桃の香り」と、彼氏がかぼそく呟いた直後、それは激しく硬化した。浮きだった血管が脈打つ、はち切れんばかりのそれをシゴク。親指と人差し指に力を込めて、根元からカリまでの芯の部分を上下する。彼氏の腰が不定期に跳ね上がる、それがひとまわり膨張した。
「先輩、出るの? 入れなくていいの?」
 乳首を舐めながらそういってあげると、彼氏は無言でワタシの身体ごと体を返した。仰向けになり、彼氏は上に重なる。彼氏の眼に血管が伸び血走っている、奥に入り込んだ瞳でワタシを直視する、彼氏のそれが、あそこにぴったりと張り付いている。彼氏の頭に腕を絡ませ、胸の谷間に引き寄せた。谷間から鼻息が洩れ、生暖かい湿気を含んだ息が下あごに吸い付く。
 それがメチメチとワタシに入り込んでいくのを、快感ではっきりとわかった。大げさ、とまではいかないけれど、演技、とまではいわないけれど、少々わかりやすく喘いだ。
「あんあん、せんぷぁーい、入ってる、気持ちいいです」
「やべ、逝きそ」
「いいですよ、全部中に出しちゃっても」
 にっこりと笑う、満面の頬笑み。
 きゅっと彼氏のそれを締めあげる。へこへこと出し挿《い》れする彼氏の面が歪む。やれたようにへの字に眉を垂れ下げ、皺を寄せ口を窄める。極度に腰の動作が加速した。胎《なか》の内壁にそれが突き立てる。子宮口にコツコツと当たる、スウィングするような様。胎を押し広げるようにそれが腫れあがった。彼氏が噴き出す、歪みきった面が、青白く色褪せる。
「香奈子っ出る」
「ああん、いくぅ~」
 嘘臭い台詞を吐いた。途端、ドクドクドクドク、と、胎にそれが溢れた。彼氏の窪んだ瞳が充血している、ただ満足した彼氏の面。胎で何度もそれがビクついていた、汁が暴れる。萎えたそれを彼氏は引き抜くと、指でもって胎を掻き回した。ほじくり返された胎から濁った液体がごぽごぽと、垂れ流れる。
「香奈子、気持ちよかった」
 感想なのか、聞いているのか……彼は二、三度繰り返した。「うん、幸せだよ」
「あ、そうか」
 一瞬――よく観察していないと判らないほどの――彼氏は目線を逸らし、戻して、作り笑みをした、ような気がした。
 彼氏が白々しく帰っていった。学校だから、と多少の言い訳をそえて玄関を出る。知っている、今日の講義は午後からだ。さらにいうなれば、バイトも入っていない。いつもの様に、ちょっと出かけてくる、とかてきとうなことを言ってくれれば邪推することもなかった。不意にあらわれた女、裕司の二文字が頭を中を支配する。
 ベッドから起き抜けて、テーブルにある飲みくさしてあった硝子《コップ》に手をやる。気の抜けた梅酒サワーの気泡が、残りカスみたいに抵抗しながら水面より飛び出した。
 ふう、と溜め息を吐いた。情事《セックス》のあとに深く息を吐いたのは、初めてだった。蠢く濁液といたる箇所に内出血の刻印が施された胎は急激に冷めた。そして醒めて、彼氏を洞察してさめたのだ。肩を脱力させて、再度息を強く吐き出した。
 絨毯に埋もれていた物体が突如うねったのは、その時だった。毛羽立った絨毯の茂みを振動に任せて携帯電話は直進した。鬱陶しいストラップを引きずる携帯電話を掴み取った、開くとあれから更に四通の件数を重ね五通目のメールが届いていた。決定を押すまでもなく裕司とわかっていた。開いて確認をする。ワタシに読んで欲しいのだろうか、タイミングを計ったようにことが終えた直後のメールだ。
 旅行の前日に彼氏の家で待ち合わせをする、といった内容のメールだった。
 こめかみがひくついた、頬が吊る、あごが上下に震えた。その、窓から射し込める暖かい朝日と液晶盤の無機質なバックライトが雑ざり合った携帯電話を覗くように見入っていると、玄関のノブが物音を立てた。扉を開きざまに「携帯忘れた」と彼氏がいった、ワタシはすぐに携帯電話を絨毯に落とす。気付かれないように足でそれを蹴って、テーブルの下へ追いやった。
「先輩、忘れちゃ駄目ですよー。珍しいですね、携帯忘れるなんて」
「急いでたからさ」
 そういった彼氏を眺めると、へらへらと嗤っていた。
 ぬっと腕を伸ばして、転がっている携帯電話を取る。彼氏から胸元に視線がおくられた、はだけたブラウスからブラのレースが顔を覗かせていた。内心、微妙なおもいで、彼氏の垂れさがった目尻に目線をやる。ワタシは裕司という女を思い浮かべながら、はぁ、と溜め息を吐いて、携帯電話を手渡した。
「ねえ、先輩。裕司さんって、お友達の方ですか?」
 彼氏の面は硬直した。直後、表情が弾けた。
「そうだよ。大学の連れ。なんで?」
「携帯拾った時に、着信がいっぱい入ってたから……急ぎなのかなーって」
「そっ、なんの用だろう?」
 先輩は誤魔化した素振りをみせて、香奈子また来るよ、そういって玄関を開けた。クダラナイ。呟いて、テーブルから硝子をひったくって一気に飲み干した。カタカタと乾いた騒音が鳴った。

  1. 2007/08/27(月) 23:14:54|
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